算法少女

遠藤寛子氏の「サンケイ児童文学賞」受賞作「算法少女」を長編アニメーションとして完全映画化。これは、江戸時代に咲いた和算という日本独自の数学に魅入られた、あるひとりの少女の、まっすぐで瑞々しい生命賛歌である。
安永四年(1775年)、四月八日の花祭り。町娘のあきは、参詣した江戸浅草観音堂で、ふと「算額」の誤りに気づいた。「算額」とは算法を学ぶ者が、神仏に奉納する絵馬の一種である。誤りを指摘されたのは、算法主流の関流一門の旗本だった。やがてその噂が、算法好きで有名な久留米藩主・有馬公の耳に届き、是非あきを姫君の算法指南役にしたいと言い出した。そうはさせじと、関流からも宇多という名の算法少女が推挙され、あきと宇多、どちらがより算法に秀でているか、有馬公の面前で、算法試合がとり行われることとなったのだ——。
今回の我々のアプローチは、通常のスタジオ制作を脱し、パーソナル・アニメーションの「手作り感」に、最大限こだわろうとするものである。たった一人のアニメーターが五年の年月を費やし取り組む渾身の一作!

原作/遠藤寛子(ちくま学芸文庫)
脚本/三村 渉 高野楓子
監督/外村史郎
企画・製作/赤の女王
企画協力/筑摩書房

公式ホームページ

2016年 劇場公開決定

RQ

この世のすべての生き物は変わり続けないかぎり絶滅する。進化は必須である。生あるものはどこまでも前に進む以外、道はない。
物語の主人公レージはバーミリオン。「バーミリオン」とは生まれつき性を持たない新種の人類だ。そして、ヒロインのアリスはアンドロイド。無性の少年と機械人形のヒロイン。共に性を持たない者同士に、果たして恋愛感情は発生するのか。二人はたとえそれが疑似恋愛でも、互いにつながりを求め合わずにはおれない。得体の知れない力が二人の運命を弄ぶ——。
進化学の「赤の女王仮説」をモチーフに、我々はいま人類の叙事詩を語りはじめた。

テレビの連続アニメ、1話30分、全26話(全話プロット準備済)を想定、立案。

玄奘

数ある中国文学の中でも民衆にもっとも愛されているのは「西遊記」であろう。中国でも日本でも、三蔵法師、孫悟空、猪八戒、沙悟浄等の名前を知らない者はいない。それは、言うまでもなく三蔵法師こと玄奘の、実際の西天取経の旅をモデルにしている。玄奘は唐の時代、実に17年間、踏破距離5万キロ、111ヶ国探訪という、驚嘆の大冒険を成し遂げた。孫悟空を登場させるまでもなく、玄奘自身が超度級のヒーローなのだ。
貞観3年(629年)、玄奘は都長安を後にし、遙か天竺をめざして旅立った。国境の大砂漠で猛暑と咽の渇きに死の淵をさまよう。さらに恐ろしい砂の武神・深沙神が現れ彼に襲いかかった。そして、その深沙神は言う。「おれはここで過去七度、お前の前世を殺して喰らってきた」と。つまり、玄奘のこの発起は八度目の西天取経の旅だったのだ。必死に般若心経を唱えて深沙神に対抗する玄奘——。
日中合作の劇場用アニメとして立ち上がったプロジェクトで、2011年には中国西域シルクロードにシナハンにも行っている。その後、諸般の事情で思わぬ足止めをくらっているが、日中両国の関係が一日でも早く良好となり、プロジェクトの続行、作品の完成に、こぎ着けたい。

風の旅人

流木人のボクボクは風の旅人だ。朽ちた小舟に揺られ、風任せの気ままな旅をもう何百年と続けている。
舟が流れ着いた島々で、ボクボクは、その島の生き物や精霊たちとふれあい、島の不思議な民話世界に取り込まれる。ときには怖い妖怪や怪物もいたりして。
時代も場所も架空。でも、どこか南洋テイスト。木陰のハンモックに揺られつつ、うとうとと名も知らぬ土地の極彩色の民話に耳をそばだてる——そんな心休まるヒーリング・アニメを目指す。
流木人のキャラクター・デザインは造形作家の神岡学氏。神岡氏は、実際、浜辺に流れ着いた流木をつかい、これまで数々の人型オブジェを発表してきた。流木人は、どこまでも静謐で、ゆるやかな長い時の流れを感じさせ、見る者の心を柔らかく癒してくれる。
神岡学 http://www.k-museum.jp/

腦病院へまゐります。

究極の情痴文学と絶賛され、「文学界新人賞」を受賞した、女流作家・若合春侑氏の問題作「腦病院へまゐります。」。その止めどない快楽追求、罪悪感なき変態ぶり、氏の文章の過激さは、巨匠・谷崎潤一郎をも超えている。
時は、昭和初期。日本がまるで高熱にうかされたように大きな戦争へと突き進んでいく前夜。主人公の「わたし」は、夫が満州に出兵している間に、危険な香りのする年下の帝大生・「お前さま」と出会う。二人の間に生したものは、たんなる不倫関係ではなく、主人と奴隷という、いわば主従関係に近いものだった。以来、「わたし」は「お前さま」に、からだを奪われ、人としての誇りを打ち砕かれ、最後は精神をも破壊されてしまうだった。それでも「お前さま」を愛する「わたし」にとって、魂の救済とは何だったのか——。

原作/若合春侑(文春文庫)
脚本/三村 渉+他(脚本準備済)
監督/三村 渉
企画/赤の女王
企画協力/文藝春秋